今回の展示は、大覚寺がもつ豊かな自然との共生をテーマに計画しました。
さらに作品それぞれにサブテーマを設け、
水、海、月のそれぞれのテーマで制作をしました。
会場として宸殿を使用させていただく予定です。
第1のテーマである『水』では、
西の間に岡田先生による全長9mの水辺の絵画を設置します。モノクロームフォトから描き起こされた油絵による現代的な障壁画となります。その中には大沢池での撮影モチーフが用いられています。
第2のテーマである『海』では、
私と砥綿先生によって計画しました。宸殿正面の白砂の庭を海に見立て室戸岬の潮騒の音を設置します。京都に海はありませんが、遥か南の弘法大師ゆかりの室戸の海の音を再現することで日本の自然と文化が海によって大きな恵みを得ていることを改めて感じることが出来ればと思います。
第3のテーマは『月』です。
今回特別に参加を依頼した野村先生は、長年、自身の制作のテーマを自然の営みとし、様々な手法で表現してきておられ、世界的に高く評価されています。彼は大覚寺の環境からテーマとして月を強くイメージされました。そしてその表現のためにさらに2人の協力を希望されました。鶴の間を用いてその水墨画て描かれた静かな空間に3点の作品を設置します。1点は野村先生の月の運行を音楽にした作品。1点は岡本氏による月の名勝地である大覚寺を空から撮影した映像作品です。そして吹田氏による月を主題にした音響彫刻を展示いたします。
私たちは。これら、水、海、月のテーマによって、豊かな環境と貴重な歴史を持つ大覚寺という空間に現代的手法によってに展示されるそれぞれの作品が、現代において重要課題となっている人と自然の共生を表していることを思い出させ、その大切さを訪れる人々に感じていただけることを願っています。
京都嵯峨芸術大学
松本泰章