学校法人 大覚寺学園 嵯峨美術大学 嵯峨美術短期大学

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イベントスケジュール

日本画の作法 「倣う」ということ

日 時
2015年3月29日(日)〜 2015年5月6日(水)
10:00~17:00

日曜日 ただし3月29日は開館

以下の通り前期と後期で展示換えを行います。
 前期:3月29日(日)~4月18日(土)
 後期:4月20日(月)~5月6日(水)
会 場
嵯峨美術大学・嵯峨美術短期大学 附属博物館 アクセスはこちら
京都嵯峨芸術大学では嵯峨美術短期大学としての開学当初より、古画研究にとくに力を注いでまいりました。四十年以上の歴史を重ねた現在は、古美術の保存・修復の分野で多くの卒業生が活躍しています。
本学の古画研究の中心は「模写」です。「写すだけなの?」と思われるかもしれません。しかしこの「模写」という行為は、洋の東西で非常に重要な活動とされてきました。
たとえばミケランジェロはフィレンツェのサンタ・マリア・デル・カルミネ教会のブランカッチ礼拝堂に通い、マザッチョのフレスコ画を模写しています。ルーベンスは失われたレオナルド・ダ・ヴィンチの大作《アンギアーリの戦い》をもとに制作された版画を模写し、レオナルドの「恐ろしさ」の描写を再現することに成功しました。日本で最初の美術学校である「工部美術学校」のイタリア人絵画教師フォンタネージの教育課程に「臨画」が含まれていることからも、模写が西洋において長いあいだ重要な位置を占めていたことがわかります。あのピカソでさえも、「他人を模写するのは必要なことである。しかし、自分を模写するのは哀れなものだ。」と述べ、実際にエル・グレコやベラスケスの模写を行っていました。
東洋においても、中国・南斉の謝赫が『古畫品録』の冒頭で述べた「画の六法」のうちの「伝移模写」に代表されるように、ひろく「写す」ことが重視されています。日本では狩野派をはじめとする絵師の修業において、師の手本を模写することは必須でした。これはのちに「粉本主義」と評されて否定的な見方もされてしまいますが、それはむしろ近代西洋の芸術概念の産物と見るべきでしょう。
本展では、古画研究工房が実際に用いているオリジナルの手本、本学の古画研究の礎となった林司馬の模写、さらに卒業生や現役学生の模写とともに、模写の行程を紹介する資料を展示し、本学の古画研究の取り組みと「模写」の持つ豊かな世界をご紹介いたします。さらに、等伯を祖とする長谷川派の江戸期から明治初期にかけての貴重な粉本を、所蔵家のご厚意を得て展示いたします。初公開のものも多数含まれますので、この機会にぜひご覧ください。
最後になりましたが、本展の開催にあたりまして多大なご協力を賜りました所蔵家の方々、本学造形学科古画研究・保存修復領域の皆さま、ならびに関係各位に心より御礼申しあげます。

■特別出品
「長谷川派の粉本」
長谷川等伯を祖とする長谷川派の家系に代々たいせつに守り伝えられてきた粉本のうちから数点を所蔵家のご協力を得て出品いたします。期間中に展示替えを行う予定です。

■展示期間
前期:3月29日(日)~4月18日(土)
後期:4月20日(月)~5月6日(水)
料 金
無料
問合先
社会連携・研究支援グループ
075-864-7898
主催
京都嵯峨芸術大学
日本画の作法 「倣う」ということ0
日本画の作法 「倣う」ということ1

■川面稜一、《後鳥羽院》(模写)

日本画の作法 「倣う」ということ2

■矢崎駿(卒業生)、《伝源頼朝像》(模写)