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車座シンポ「芸術を巡る哲学」、「アートプロジェクトの可能性」の開催

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現代芸術公開研究プログラム:2シリーズテーマの講演会+シンポジウム

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 京都嵯峨芸術大学では、現代芸術の今日性を照射する研究プログラム「車座シンポ」を開催致します。「車座シンポ」とは、通常の一方向的な講演会ではなく、学内外で組織される研究会と招聘講師との双方向的に構築される公開研究プログラムです。これまで、美術においてますます重要なメディアとして認知されてきた「写真」表現の今日性とは何か、そしてアートと地域が真に連携する「アートプロジェクト」の可能性とは?と言った二つをテーマにしてきました。今年度も同様にこの二つをテーマにしたプログラムを開催致します。

 

シリーズテーマ01:「芸術を巡る哲学—写真と映画」

 今年5月、車座シンポの企画として、科研費採択研究プロジェクト「ひと概念の再構築をめざして」において京都大学と本学との共同プログラムとして写真家の森本洋充氏を招いてシンポジウム、ワークショップを開催致しました。これまでの車座シンポの研究会は作家の制作現場に焦点を当てて参りましたが、その現場に立ち現れる世界、あるいは人間の有り様を哲学的な視点に立って再考することの重要性を、その共同プログラムで再認識することに至った次第です。改めてこの共同プログラムで得た哲学的な視座をより深めるために、シリーズ「芸術を巡る哲学」の講演会+シンポを開催致します。

<主旨>

近代以降、カメラは発明され、人間の眼差しの外部の現れに人々は驚愕し、美術を含む視覚文化は劇的に変化した。更には今日のデジタル化の爆発的な普及により、写真が世界を覆っていると言っても過言でない状況を迎え、制度的な表象空間は加速度的に強化されている。この企画では、この現状を踏まえながら、カメラが与えた私たちの知覚への多大な影響を再確認し、視覚の外部を提示してきたとされるカメラによる芸術表現を通じて、世界は、人間はどのように現れてきたのかを考察していく。それは、モダニズム写真が示したとされる世界の果てとは如何なるものであるのか、映画が表す世界の有り様とは何かなど、現代哲学が芸術表現において語ってきたモチーフを再検討し、人間、世界のあり方を考える対談、及びシンポジウムとしていきたい。

 

■「映像と美術—イマージュの思考」

鈴木創士(フランス文学者、美術批評、小説家)× 丹生谷貴志(神戸市外国語大学教授、フランス哲学、文芸評論)

2009年2月6日金曜日 於・本学事務局棟3階AVホール

15:30〜17:00 鈴木氏、及び丹生谷氏による対談形式での進行

17:00〜18:00 質疑応答形式によるシンポジウム

 映画は娯楽として楽しまれる一方で、そこを超えて出て、視覚の外部自体を示す可能性を残す。それは私たちの主体性が消失する世界の境界の現れであるのかも知れない。ここでは、アントナン・アルトーの研究者、美術批評家など多彩な顔を持つ鈴木氏、そして東京芸大出身の文芸評論家、ドゥルーズ=ガタリの研究者という丹生谷氏と言った変わり種の二人に、映画、美術、哲学へと幅広いテーマを通じて、視覚の外部としての世界の現れが如何なるものかを語って頂く。

 

■「写真とひとー『ひと』概念の再構築を巡って」

多賀茂(京都大学人間環境学研究科准教授)× 三脇康生(精神科医、美術批評家、仁愛大学准教授)

2009年2月8日日曜日 於・本学事務局棟3階AVホール

15:30〜16:30 多賀氏による講義

16:40〜18:00 三脇氏を交えてのシンポジウム

 写真という芸術メディアが持っている「目に見えないものを写す」という力について、そしてそれ故に写真に写り込むかもしれない「人の中の人の外」という要素について京都大学の多賀氏に講演して頂く。その後、精神科医の三脇氏を加えて、ロラン・バルトの写真論や精神医学と写真の関係などの論点なども交えながら、「ひと」の境界を巡って議論していく。

 

 

シリーズテーマ02:「アート・プロジェクトの可能性」

<主旨>

 現在、日本国内においても数々のアート・プロジェクトがすでに大きな実績をあげている。これらには、単に「現代美術の展覧会」という目的しか担わされていないものもあれば、「アートで人と地域をもりあげる」などの特定の目的を持つものもある。こうしたプロジェクトでは「横トリ」のようにコミッショナーに権限が集中する場合もあるが、アーティスト、キュレーター、そして市民が、ともに「作り上げていく」側にたった開催方式も多い。このシンポジウムではそうしたアート・プロジェクトの「地域活性」という役割に注目する。短期的には経済効果、中長期的には地域のさまざまな活動を担っていく社会関係資本と社会資本、つまり人間関係の形成とその具体的な活動の場の形成が、プロジェクトに期待されている。これはアートの本来的な属性のひとつである「コミュニケーション・メディア」としての力に大きく関わっているといってよいだろう。

 パネリストの芳野は青森県弘前市で開催された一連の奈良美智展のうち2005年(From the Depth of My Drawer)、2006年(Yoshitomo Nara + graf A to Z)で実行委員を務め、数多くのボランティアと関わりながら、実際に展覧会の現場で多くの時を過ごした。このプロジェクトによって、弘前の街には億単位の経済効果がもたらされただけでなく、アートの場とアートに関わる人間関係が形成された。それはさらに県内外にも波及している。また、倉山は、群馬県桐生市の「桐生再演」に本学の学生とともに参加し、アーティストとして、そしてグループのリーダーとしてのプロジェクト経験を積んでいる。

 今回は、今後も予定されているアート・プロジェクト研究の発端として、まずこうしたいくつかの事例を紹介し、さらなる研究のためのベースを提供することを目的としている。アートを支え、さらなる展開を生み出す土壌をアート自体が提供している様から、まさに「プロジェクトの可能性」のひとつの形を考えていく場としたい。

 

■ 「プロジェクトが生み出すモノ−」

芳野明(本学准教授、美術理論・美術史、元AtoZ実行委員)×倉山裕昭(本学講師、メディア・アート、桐生再演参加アーティスト)

2009年2月12日木曜日 於・本学事務局棟3階AVホール

16:30〜18:00 芳野による講演会、倉山との対談、及び研究会メンバーと討論会

 

講師プロフィール

鈴木創士(すずき そうし)

1954年、神戸市に生まれる。フランス文学者、作家、翻訳家、作詞家。「記号の横断」ジュリア・クリステヴァ編著(共訳)、「女たち」フィリップ・ソレルス著、「ドゥルーズ—存在の喧騒」アラン・バディウ著、 「アルト−後期集成 3」アントナン・アルトー著、『無人島』ジル・ドゥルーズ著(共訳)などの多くの翻訳や、「イクタコウサク」(共著)、『魔法使いの弟子』などの批評、エッセイ、更に「アントナン・アルト−の帰還」「宮沢賢治カバーバージョンズ」、「中島らも烈伝」、新版『アントナン・アルトーの帰還』などの小説作品などがあり、また作詞、脚本なども手がけるなど、その活動は実に多彩である。

 

丹生谷貴志(にぶや たかし)

1954年、東京に生まれる。文芸評論家、神戸市外国語大学教授。美学、表象論などを専攻。東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。同大大学院美術研究科西洋美術史修了。神戸市外国語大学外国語学部助教授をへて現職。国際関係論と比較文化論を教える。「光の国 あるいはvoyage en vain 」、「砂漠の小舟」「死体は窓から投げ捨てよ」「女と男と帝国 グローバリゼーション下の哲学・芸術」「三島由紀夫とフーコー〈不在〉の思考」など著書多数。また映画に関する著作として「ドゥルーズ・映画・フーコー」などがある。

 

多賀茂(たが しげる)

京都大学人間・環境学研究科助教授。研究分野は制度文化論、フランス18世紀思想、フランス現代思想、精神医学史、都市論。著書には「イデアと制度」、「医療環境を変える—『制度を使った精神療法』の実践と思想」(共著)などがある。科研研究プロジェクト「ひと概念の再構築をめざして—人文科学・アート・医療をつなぐ問いかけ」責任者で、アートへの論考も進めている。

 

三脇康生(みわきやすお)

1963年 兵庫県に生まれる。京都大学文学部(美学美術史)卒業、同大学医学部卒業、パリ第一大学科学哲学科DEA課程卒業、京都大学医学研究科博士課程卒業。芸大非常勤講師や精神科医として勤務する一方で、美術批評家としても活動する。またフランスと日本の精神医療を比較検討し精神医療の考察を行う。現在は仁愛大学大学院(臨床心理コース)助教授。「アート×セラピー潮流」、「学校教育を変える制度論—教育の現場と精神医療が真に出会うために」、「精神の管理社会をどう超えるか?—制度論的精神療法の現場から」などの共著、「無人島 1969-1974」(ジル・ドゥルーズ著)などの翻訳がある。



 

参考:これまでの車座シンポ現代芸術研究会

 

2006年

「車座シンポwith Beate Gueschow─美術における写真の今日─ドイツ現代写真から」

講演会+シンポジウム+ワークショップ

日程:2006年1月14日・午後1時〜4時30分於:本学・有響館G401教室

主催:京都嵯峨芸術大学・京都ドイツ文化センター

ゲストアーティスト:ベアテ・グーチョウ

 

2007年

「美術における写真表現の現在—松江泰治と木村友紀」

■「写真とデジタルな色彩—松江泰治」

日程:2007年2月10日(土曜日)15時〜17時30分/於:本学・有響館G401教室

■「写真とレディメイド—木村友紀」

日程:2007年2月14日(水曜日)15時〜17時30分/於:本学・有響館G401教室

主催:京都嵯峨芸術大学/企画:京都嵯峨芸術大学車座シンポ・現代芸術研究会

ゲストナビゲーター:美術批評家・清水穣(両日共参加)

ゲストアーティスト:松江泰治、木村友紀(2回のシリーズでそれぞれ企画)

 

2008年

「アートプロジェクトの可能性」

日程:2008年02月24日(日) 14:00−17:30/於:本学・第六演習室

主催:京都嵯峨芸術大学

パネリスト:_赤池孝彦(桐生再演運営委員)、_木ノ下智恵子(NAMURA ART MEETING実行委員会)

宮本初音(ミュージアム・シティ・プロジェクト(MCP)事務局長、アートアパート88代表)

 

「写真とひと:写真に写る「人の中にある人の外」—写真家・森本洋充を囲んで」

日程:2008年05月10日(日) 15:00−18:00/於:本学・第六演習室

主催:京都嵯峨芸術大学

共催:京都大学・科研研究プロジェクト「ひと概念の再構築をめざしてー人文科学・アート・医療をつなぐ問いかけ」

ゲストアーティスト:森本洋充

パネリスト:多賀茂(京都大学人間環境学研究科助教授)、三脇康生(精神科医、美術批評)

 

 

※「車座シンポ」とは、京都嵯峨芸術大学現代芸術研究会による公開研究プログラムです。通常の一方的な講演会ではなく、双方向でやり取りができるよう学内外で組織される研究会と招聘講師中心として、周囲を"車座"状に取り囲み考察を深めていくことを目的としてネーミングされました。

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