未完のアーカイブ
イスラエルは、歴史、文化、宗教の重層空間であるとともに、それらの分割空間でもある。
この状況は、現在の世界の分割空間のモデルともいえる。
しかし、現在進行しつつある、地球自体の気候変動とそれに伴う環境危機は、
従来の人々の考えの土台である地球そのものの存続の危機でもある。
IRIS(瞳)は、ネゲブ砂漠の荒野に置かれ、地球の瞳として、
その眼差しを宇宙に向け、また同時にその瞳は宇宙から見られる存在となる。
人は、昼夜、地上で砂漠に横たえられたその瞳に接し、
あるいはネットで衛生の視点からそれを視る。
太陽電池とそのエネルギーによって光る地上の瞳は、
人々に、地上の視点とそれに伴う考えからの解放を誘う装置となる。
本プロジェクトは2008年から始まり、函館と京都において断片的に実現した、
その実験の後に、より大規模なインスタレーションとしてイスラエルと福島で計画されている。
しかしイスラエルや福島においては政治的あるいは経済的理由においてはいまだ実現していない。
本展はいまだ実現されないプロジェクトの未完のアーカイブとして記憶されるものである。
協力
京都大学 宇宙総合学研究ユニット
京都市立芸術大学
平沼孝啓建築研究所
佐藤淳構造設計事務所
旭ビルウォール株式会社(AGB)
フジ大理石株式会社