花留は、その名の通り、花を留めるためのいけばなの道具のことです。生花の美しさを陰で支える脇役といえます。
 花をいける時、花器にいかに留めるかは、いけばな五百年の歴史の中で大きな課題でした。初期のものは外には見せない花留でしたが、江戸時代中期頃よりいけばな専用の見せる花留が作られるようになり、造形も様々に発展してきました。
 また、日本の花留から触発を受け、十九世紀から二十世紀にかけてイギリスやフランスでもガラス製の花留が作られるようになり、デザインや色彩も多様化してきた歴史があります。
 花器の中にひっそりとうずくまって主役の花を支える花留。その脇役を愛しみ、造形に凝るところに江戸時代の町人文化が生み出した「粋」と言われる美意識を感じますね。

 このたび、本学の「華道」の授業のなかで、デザイン学科の授業で制作された学生のアルミワイヤー作品を<変わり花留>に見立て、花をいけました。

「花留」ってご存知ですか?:0

 アルミワイヤーを、用と美を兼ね備えた道具として用いることで、花との融合美を学生の感性で表現したものです(上下の写真の花留はデザイン学科1回生三浦遥香さんの作品)。

「花留」ってご存知ですか?:1

 芸術学部デザイン学科の学生10名が制作した花留を使用して、華道の先生が活けたいけばなが、学生ホールにて順次展示されています(下の写真の花留はデザイン学科1回生勝本亜砂佳さんの作品)。

「花留」ってご存知ですか?:2

 京都嵯峨芸術大学は、幅広い芸術教育の一環として、いけばな嵯峨御流も学ぶことができる大学です。