3月20日に本学講堂で卒業式が挙行されました。京都嵯峨芸術大学、同大学院、京都芸術大学短期大学部、同専攻科の「卒業・修了式」です。
前日までの雨があがり、さわやかな春の日になりました。

着物やはかまの卒業生もいて、会場は華やかな雰囲気です。

式に先立って、先日開催された卒業制作展の受賞者の表彰を行いました。
大学以外に、教育後援会や同窓会からも賞が授与されました。

受賞された作品などは、3月29日(日)オープンキャンパス、4月1日(水)、2日(木)の入学式の各日に、「制作展選抜展」として本学附属ギャラリー「アートスペース嵯峨」で展示されます。

つぎに卒業・修了式が開式され、まずは本学独自の「御法楽」が行われました。般若心経を本学の設置母体である大覚寺のお坊様方が供えられます。

理事長挨拶、学長の贈る言葉につづき、在校生の送辞も贈られました。
教育後援会からの祝辞もいただきました。
色々な方が卒業を祝います。

式の最後は、卒業生からの答辞です。毎回、自分の言葉で大学生活を振り返るのが嵯峨芸の答辞ですが、今年の答辞は例年にまして多くの方に感動を与えました。

長文ですが、全文を紹介いたします。

(答辞)

長く厳しい冬が終り、柔らかい日差しと優しい風を感じて、心が踊る。
新たな旅立ちの季節、春を迎えました。

先生方をはじめ保護者の皆様、多くの方々に温かく見守られながら、この良き日を迎えることができましたことを深く感謝いたします。

四年前、東日本大震災という大きな不幸と直面する中で、自分が無事、大学に進学できたことを心から感謝し、この京都嵯峨芸術大学の門をくぐりました。
入学当初は期待よりも不安を多く感じていましたが、嵯峨野という自然豊かで四季を身近に感じられるこの地が、故郷・富山を思い出させてくれ、私の不安を和らげてくれました。また、通学路にある車折神社や嵐山の風景からは、京都らしさを日々感じることができ、この場所で芸術を学ぶ毎日は、私の人生において貴重な時間になるだろうと確信しました。

母体となる大本山大覚寺とは、華道を通して深く関わることができたと思います。
四季折々の花々を使い、様々な花態を学びました。観る人がどう感じるか、自分の想いはどう伝わるのか、芸術に通ずるそれらを一から学ぶことができるのも、この大学の魅力のひとつだと思います。

芸術学部デザイン学科に進学した私は、学部・学科を超えて多くの学生と交流を持つ機会に恵まれました。なにか問題に直面したとき、すぐ側にいた友人が私を助けてくれました。この人は自分が学んでいること、出来ることに誇りを持っているのだと感じ、私も一層努力しなければ、と励みにもなっていました。そうやって多くの人の価値観や、作品に対する想いに触れることで、自分の知らなかった世界がどんどん広がっていくのがわかりました。私はそれが楽しくて仕方ありませんでした。

また先生方からも多くのことを学びました。自分の作品をアウトプットすることの大切さや難しさ、外部の方との関わり方、チームとして作品を制作することの面白さなど様々なことを教わり、その機会を与えてくださった先生方にとても感謝しています。魅力的な先生方と関わることができて本当に幸せでした。
高校までとはまた違った距離感で、歩み寄って一緒に進んでくださる姿に、家族とも恋人とも違う、言葉に言い表せない愛情のようなものを感じていました。

尊敬出来る友人や先生方と深く関わることができ、とても嬉しく思います。大学での四年間は私にとってかけがえのないものなりました。朝大学に来て、友人に「おはよう、制作どう?」「昨日は楽しかったね」と何気なく話していた時間が、研究室で先生の面白い話を聞いていた時間がどんなに幸せだったか、どんなにきらきら輝いていたのか、そのときには分からなくて、今やっとそれを感じています。春からはこの時間が無いのだと思うと、とても寂しく不安に思います。あまりにも愛おしくかけがえのない時間を当たり前のように過ごしていたので、卒業して右も左もわからない社会に出て行くのはどうしても怖いです。
それでも、四年間過ごしてきた時間を胸に少しずつ前に進んで行こうと思います。
そしていつかまた友人や先生方と再会して、学生の頃よりも素敵な話が出来ることを楽しみに、日々を過ごして行きたいと思います。
こんなかけがえのない大学生活を送れたのも、「好きなこと、学びたいことがあるなら精一杯がんばりなさい。」と芸大への進学を心から応援してくれた両親がいたからです。離れて暮らす両親が安心出来るように、教育職員免許や学芸員の資格取得も頑張りました。帰るたびに大学での楽しかった出来事を話す私は、どんな風に見えていましたか?お父さん、お母さん、私は今の自分が大好きです。こう思えるようになった機会を与えてくれたことを本当に感謝しています。
ありがとう。

在校生の皆さん、今大学生活は充実していますか。食堂のパンでおすすめはくるみパンです。カレーパンは午前中の焼きたてが美味しいし、メロンパンはもう一度あたため直すとより一層おいしくなります。
あっという間の四年間です。作品制作が嫌になるときもあると思います。何を作ればいいのか分からなくなるときもあると思います。
疲れたら屋上で外の空気を吸うのもいいです。
友人や先生方と他愛もない話をするのもいいです。
自分で思っているよりも案外ひとりぼっちではないです。頼れる人はたくさんいます。困ったときは迷わず誰かを頼ってください。そのかわり頼った分、自分らしい形で恩返ししましょう。
今は無理でもいつかできればそれでいいのです。誰かと関わるということは、きっとそういうことだと思います。愛をもって大学生活を送ってください。そうすれば、毎日がきらきらして見えるはずです。

その他、無理なことをお願いしても快く助けてくれた研究室助手の皆さん、美味しいご飯を作ってくださった食堂の皆さん、「お疲れさま」と優しく声をかけてくださった警備員の皆さん、注文した画材をすぐに届けてくださった購買部の皆さん、就職活動や教職・学芸員資格の取得などでお世話になった事務局の皆さん、感謝してもしきれません。

こんなに素敵な大学生活を送ることが出来た私は、きっと本当に幸せな者なんだと思います。思い返すだけで涙は勝手に出てくるし、離れたくないという子供のような想いがどうしてもこみ上げてきます。私はこの大学が大好きです。皆さんが大好きです。宝物のようなこの愛しい日々を私は一生大事にします。ありがとう。心から愛しています。

最後になりましたが、理事長、学長をはじめ諸先生方、職員の皆様、並びに在校生、ご列席の皆様のご健康とご多幸を願い、京都嵯峨芸術大学ならびに京都嵯峨芸術大学短期大学部のさらなる発展を心よりお祈りいたしまして、答辞とさせていただきます。

平成27年3月20日

卒業生並びに修了生代表 京都嵯峨芸術大学芸術学部デザイン学科
蟹谷 ひかり 

助け合ってきた仲間や先生方と離れ、新しい一歩を踏み出す気持ちが伝わってきます。

式の後のクラスでの集まりでは、先生を囲んで写真も撮りました。

京都嵯峨芸術大学、京都嵯峨芸術大学短期大学部での学生生活の思い出を胸に、卒業生の皆さんの晴れやかな未来での活躍を、大学関係者一同祈っています。

これからも、一生懸命、自分らしく頑張ってください!!そしてまた大学に遊びに来てください。おめでとうございます。