暑さが本番を迎えた8月某日。 京都・烏丸にある「株式会社 龍村美術織物」へ OG・OB訪問させていただきました。

「株式会社 龍村美術織物」は織物を制作している会社です。着物の帯や小物などから、祇園祭をはじめとする日本各地のお祭りで、山車、山鉾、屋台、神輿(みこし)などを装飾する『懸装品(けそうひん)』という絢爛豪華な幕地、劇場を彩る舞台の幕『緞帳(どんちょう)』、航空機や鉄道などの座席シートといった産業資材まで、幅広い「織物」を制作されています。

サガビOG・OB訪問記~vol.1:0

そんな龍村美術織物さんでは、なんと8人も嵯峨美の卒業生が働いているとのこと!
その中で、今回お会いさせていただいたのは、制作部で働いていらっしゃる織田千絵子さん。

サガビOG・OB訪問記~vol.1:1

嵯峨美では日本画を学ばれ、龍村美術織物に就職してからずっと制作部に勤務されています。
大学で学ばれている時は織物関係の仕事に就くなんて思ってもみなかったとのこと。

「きっかけは、日本画の先生から、『緞帳(どんちょう)の図案を描かないか?』と声をかけられたこと。日本画から織物関連と、あまりイメージは湧かなかったのですが、絵を描けることならやりたい!と思い、面接へ行き今に至ります。

サガビOG・OB訪問記~vol.1:2

入社当初からいきなり『着物の帯の図案を描いて』と言われ、驚いたのと同時に早速美大を出た能力が生かされた気がしました。
今までは作品を描いて仕上げることがゴールだったことが、今度は物を作ってお客様へ販売するという最後の目的が違い、当初は苦労した部分もありました。けれど、自分が制作にかかわった物が製品になり、お客様の手もとへ届くことが今までと違った嬉しさでした。

サガビOG・OB訪問記~vol.1:3

同じ制作部にも他の嵯峨美出身の方がいるのですが、私と同じ絵画出身者は帯や緞帳、懸想品などの図案に技術が活かせていますし、染織出身者は染色の知識を活かしています。龍村美術織物は嵯峨美で培った美的感覚や色彩感覚に加え、それぞれの専攻分野を活かして活躍ができる仕事場です。
また、制作部自体がものをつくり続ける部署なので、まるで文化祭の前日がずっと続いているような感覚ですね。いい意味で大学時代の延長のような感じ。それぞれが違うことをしているのに、どこか一体感があって、そういった学生時代の気持ちが、良い製品を生み出しているところもあります。」

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本当に生き生きとした表情で、現在のお仕事や大学時代のお話、今まで制作した製品のご紹介など、たくさんのことをお話しいただき、時間が経つのがあっという間でした。

龍村美術織物でがんばっている嵯峨美の卒業生・織田千絵子さん。 日本画から織物関連の会社と、分野は確かに違いますが、その中で嵯峨美で培ったこと・自分の得意なところを活かして活躍されている卒業生でした。


龍村美術織物さま、織田さま、お忙しいところありがとうございました! 嵯峨美OG・OB訪問記、次回をお楽しみに!